日本で不動産又はこれを目的とする権利を有する外国人が死亡して相続が開始した場合、誰が相続人となるのか、あるいはその順位や相続分等については、被相続人の本国法によって決定されます。ですから、被相続人が日本人であれば、その相続人の国籍いかんにかかわらず、日本の法律が適用され、また、被相続人及び相続人が日本国内に住所を有するか否かも問いません。他方、被相続人が外国人であれば、相続人が日本人であっても、その外国の法律が適用されます。ただし、婚姻や離婚の効力、親子間の法律関係を除き、当事者の本国法によるべきものとされているときは、日本の法律によるとされています(これを反致といいます)。ですので、相続関係について被相続人の本国法によれば、日本の法律を適用すべきときは、日本の法律が準拠法となります。
被相続人が外国人である場合で重要なことは、当該相続が、どの国の法律(相続法)が適用されるかを調査し、確定することです。その国と日本の民法との違いを理解していないと相続手続きができません。
なお、日本に不動産を有している外国人の死亡による相続登記であっても、基本的に日本の不動産登記法が適用されます。そのため、登記の添付書類についても、日本人の相続と変わりません。しかし、外国人の場合、日本人と同様の添付書類を提出することができないので、書類の手配にも時間と手間がかかります。