遺言は、各自が単独で自由な立場ですべきとされていますので、2人以上の者が同一の証書で共同遺言をすることは禁止されています。ですから、夫婦が同一の証書で遺言をすると無効となります。
共同遺言が禁止されている理由としましては、
・各遺言者が、他方の遺言者に気を遣い、自分の本当の意思を残せなくなる
・どちらか一方が内容を変えたいと思っても、自由に変えられない
・相手の意思に左右されてしまい、自分の意思をきちんと反映できない
等という恐れがあるためです。
ただ、夫婦が切り離せば2通の遺言となるように同一の用紙に全く独立の自筆証書遺言を書いた場合や別々の自筆証書遺言を同一の封筒に入れてあるような場合には、共同遺言ではないとされています。遺言は、自分でのこす最後の意思表示です。ですから、遺言は他人の意思などに決して左右されないように作成し、また内容を変更したい時に自由に変更できるのが、本来のあり方です。