相続登記の際、除籍謄本等が添付できない場合はどうすればよいですか

 相続登記をする際には、亡くなった人(被相続人)の出生から死亡までの除籍謄本等や相続人全員の戸籍謄本等が必要となります。それは、死亡した事実や相続人を特定するために提出が求められています。

ですが、除籍謄本等には保存期間があり、これが経過しているため交付されない場合があります。また、空襲や天災で除籍謄本等が焼失され、交付されない場合もあり得ます。そうなると、相続登記の際、除籍謄本等の一部が添付できないことになります。

これまでは、そのように除籍謄本等の一部が滅失等していることにより、その謄本が添付できないときは、戸籍及び残存する謄本のほか、滅失等により「除籍謄本等の交付をすることができない」旨の市町村長の証明書及び「他に相続人はいない」旨の相続人全員による証明書(印鑑証明書添付)を添付すれば、登記の申請が受理される取扱いでした。

ただ、平成28年3月11日の通達で、「除籍謄本等の交付をすることができない」旨の市町村長の証明書が提供されていれば、相続登記を受理して差し支えない、とされました。つまり、「除籍謄本等の交付をすることができない」旨の市町村長の証明書があれば、相続人全員による他に相続人がいない旨の証明書がいらなくなった、ということです。この通達により、今まで進まなかった相続登記も手続を進めて行くことができるようになり、空家問題の解決等にも役立っていく可能性があります。

なお、外国籍の方の場合に、出生から死亡までの除籍謄本等が添付できず、除籍謄本等を添付できない旨の証明書も発行されないケースがあります。そのような場合に、相続人全員から「他に相続人はいない」旨の証明書を添付して登記申請が受理されるケースがあります。ただ、法務局により判断は異なってくると考えられますので、事前にご相談いただければと思います。