韓国人が亡くなった場合の、相続による不動産の名義変更の必要書類としては、申請人がその本国法により被相続人の相続人であること及び他に相続人がないことを証する戸籍謄本、除籍謄本又は駐日大使館等の本国政府機関発行の証明書を提出します。その他超過特別受益者が存する場合の相続分がない旨の証明書、相続放棄者がある場合の相続放棄を証する書面、共同相続人間の遺産分割協議書等の提出を要します。そして、申請人の住所を証する情報として、当該申請人が日本に居住している場合には外国人登録証明書を、韓国に居住している場合には同国の面長発行の住民登録証明書を提出します。また、共同相続人間の遺産分割協議書又は韓国家庭法院の遺産分割調書のほか、日本の家庭裁判所における遺産分割の審判書又は調停調書の謄本を提出して申請があったときも、受理して差支えないとされています。なお、戸籍謄抄本など外国文字で作成された書面についてはその訳文をも添付することになります。
登記の先例としては、朝鮮人の慣習にしたがった相続登記の申請については、戸籍謄本のほか、外国人登録証明書の写し及び他に相続人がないことを証する書面を添付させて受理して差支えないとし(昭30.4.15民甲707)、また、韓国人が死亡し、その配偶者から相続による所有権保存の登記申請があった場合において、その者が本国法により死亡者の相続人であり、かつ、他に相続人がないことを証する大韓民国政府又はその駐日代表団の書面の添付があるときは、受理して差支えないとしたものがあります(昭和27.8.28民甲127)。