日本に不動産を所有している中国人が亡くなった場合には、相続の準拠法は不動産所在地法である日本の法律が適用されることになります。そして、中国人の相続についても、申請人が被相続人の相続人であり、かつ、申請人以外に相続人が存在しないことを証する書面又は本国政府機関(駐日大使館等)が発給した証明書が登記原因証明情報たる相続を証する書面となります。なお、登記先例では、中国人の相続登記につき、被相続人の本籍及び死亡時の住所が記載され、その妻、長男、次男等をそれぞれ生年月日、現住所により特定し、これらの者が中国の法律の規定によれば、死亡者の正当な相続人として遺産を承継することを証明する旨の中華人民共和国駐日大使館発給に係る証明書は、相続を証する書面として取り扱って差し支えないとしています(昭51.9.3民三4910)。
・参考先例
日本に不動産を有する中華人民共和国国籍を有する者の相続について適用されるべき法律は、法例25条により、本国法である中華人民共和国法であるが、同国継承法36条は、国外にある不動産の相続準拠法をその所在地法と定め、同規定は、同法施工前に開始したが施工時に未処理の相続にも適用されるものとされているところ、本件相続については、同法36条及び法例29条の規定により反致され、不動産所在地法である日本法が適用される。