相続の際、遺言があった場合その遺言の執行は遺言執行者がすることになります。遺言執行者の報酬については、遺言で定められている場合と定められていない場合とに分けることができます。
・遺言で報酬が定められている場合
遺言執行者の報酬は、遺言で定められているときにはそれに従い、遺言に定めがなければ、家庭裁判所の審判で定めることができるとされています(民法1018条)。そして、遺言執行者が報酬を受け取る場合には、原則としては後払いになり、報酬も遺言執行費用なので、相続財産の負担となります。
・遺言で報酬が定められていない場合
遺言で報酬が定められていない場合には、家庭裁判所は相続財産の状況その他の事情によって、遺言執行者の報酬を定めることができます。申立権者は遺言執行者です。この審判に対しては、遺言執行者も相続人も即時抗告を申し立てることはできません。また、この審判は、遺言執行者の報酬の額を決めるのみで、執行力を有しません。したがって、任意に報酬が支払われない場合には、遺言執行者が別途相続人に対し、給付訴訟を提起しなければならないことになります。裁判例では、審判で認定された報酬額の内、一人の相続人に対し、当該相続人が取得した遺産の割合にあたる額の支払を求めて訴えを提起したものがあります(東京高裁平成5年9月14日)
なお、遺言執行者の報酬基準については、遺産の評価額に基づいて決められるのが一般的です。ただ、遺産の評価とは関係なく、執行に要した時間に応じて、時給いくら、という取り決めがされることもあります。参考までに、遺言執行について当事務所の報酬は下記のようになっております。
遺産の総額 |
司法書士報酬 |
3,000万円以下の部分 |
2.0% |
3,000万円を超え5,000万円以下の部分 |
1.5% |
5,000万円を超え1億円以下の部分 |
1.2% |
1億円を超え3億円以下の部分 |
1.0% |
3億円を超える部分 |
0.8% |
最低報酬額 |
30万円 |
*不動産の相続登記は、登録免許税が別途かかります。
*戸籍謄本、残高証明等の印紙、証紙等の実費が別途かかります。
*裁判上の手続きが必要となり弁護士を選任する必要がある場合には、弁護士費用が別途かかります。
*相続税の申告が必要となり税理士を選任する場合には、税理士費用が別途かかります。