相続の際、相続人がいなければ、財産は最終的には国のものとなります。それを避けるために、死後の後始末を頼むかわりに、財産を後始末してくれる人に遺贈する遺言書を作成するケースがあります。
近親者がいない場合、遺産の指定は誰にでもわかるよう、特にしっかりと特定する必要があります。また、葬儀やその後の後始末の負担を条件に遺贈する場合には、生前にそのことを遺贈する相手と話し合っておくことが大切です。そして、負担を条件に遺贈すると指定された人が、これを断ることは自由です。その場合には、相続財産は特別縁故者がいなければ国のものとなります。
身寄りがなく相続人がいないケースは、社会の高齢化が進む現在、ますます増えることが予想されます。自分の死後の後始末を条件に、遺贈を考える場合には次の点に注意して下さい。自分と親しい人、あるいは信頼できる人を受遺者として選びましょう。生前に受遺者とよく話し合い、受遺者の意向を確認しておきましょう。負担が確実に履行されるかどうか、遺贈が確実に行われるかどうかをチェックするのが遺言執行者の役目です。遺言執行者の予定者にも、遺言の内容を話し、受任の意思を確認しておきましょう。負担を依頼された人が、負担を実行せず相続財産だけを受け取ることも考えられます。これをチェックするにも遺言者本人は亡くなってしまっているわけですから、負担が行使されるかどうかを監督する遺言執行者は必ず選んでおく必要があります。
なお、このような遺言書は、相続人として兄弟姉妹がいるが、兄弟仲が険悪である、あるいは疎遠であるなどの場合でも、活用することができます(兄弟姉妹には遺留分がないので、自分にまったく遺産がこない指定でも取戻しの請求はできません)。