相続の際、養子がいる場合の相続税の計算について教えて下さい。

相続税を計算するときの計算基礎となるべき相続人数を判断する場合の養子の数は無制限には認められていません。養子の数を無制限に法定相続人としてその数に含めてしまいますと、様々な問題が生じることから制限規定が定められています。

相続税の節税対策として、子の配偶者・孫など多数の親類縁者を養子にして相続税の基礎控除および生命保険金・死亡退職金の非課税限度額を増額させる事例が過去あったことから、このような不合理を是正するために昭和63年に相続税法が改正され、現在では相続税の基礎控除として認められる養子の数は1人又は2人と限定されました。

しかし、この制限規定の意味は、あくまでも税法上のことであって、民法上養子縁組の人数を制限するということではありません。つまり、相続税の計算上、基礎控除の法定相続人の中に組み入れられる養子の数が1人か2人に限られること以外には何の制限もなく、実子・養子全員が平等の地位で被相続人の財産に関して自由に遺産分割をすることができます。

なお、胎児はそのままでは遺産にかかる基礎控除額の算定にあたって法定相続人の数に算入することはできません。また、被相続人が先に死亡した子の子供(代襲相続人)を養子にしたために相続人としての地位が重複した場合には法定相続人の数は1人として計算されることになる点も注意が必要です。