相続手続きの際に預金の残高証明は必要ですか。

 相続手続きの場合で残高証明を取得することは多くありません。残高証明を取得するケースとしては、遺産分割協議の前提として相続財産を調査し、預金額を確定させるために取得します。相続人同士がシビアに財産をきちんと分けるためには、相続財産がどれでどのくらいあるのか確定する必要があります。そのため預金額を確定するために残高証明を取得するのです。残高証明書を取得するとき、よく、請求した日に残っている残高を証明してもらうことが多いですが、遺産分割協議の前提としては、「相続開始日」つまり、「亡くなった日」の残高を証明してもらうようにしなければなりません。つまり、相続財産とは亡くなった日に存在する財産ですので、亡くなった日以降に相続人の1人が預金をキャッシュカードで勝手に引き出してしまうこともあるからです。そうすると相続人の間で不公平になるので、相続財産として亡くなった日を基準にしなければならないのです。

また、相続税の申告が必要な場合も、正確な相続財産の価格を算出しなければならないため、「亡くなった日」現在の残高証明を取得する必要があります。

 では、相続による残高証明書は誰が請求できるのでしょうか。残高証明書というのは、個人情報なので原則、預金名義人しか請求することができません。しかし、その預金名義人が亡くなっているので、その相続人が残高証明書を請求することができます。さらに、残高証明請求というのは、解約と違い処分行為ではないので、相続人のうち一人からでも請求することができます。具体的な残高証明書請求方法は、金融機関所定の様式がありますので、それに必要事項を記入し、実印で押印します。添付書類としては、相続関係を証明するため、亡くなった方の除籍謄本、請求者の戸籍謄本と印鑑証明書が必要となります。ただし、金融機関によって、若干必要書類が異なることもありますので、事前に確認することが必要です。

なお、残高証明請求は請求してから2~3週間かかることもあります。