・遺言の存否の確認法
被相続人が遺言をしても、かかる遺言の存否が不明であれば、結局被相続人の最終意思に従った財産処分がなされないおそれがあります。そこで、公証役場が関与する遺言(公正証書遺言、秘密証書遺言)については日本公証人連合会による検索制度があります。
照会を行えるのは秘密保持のため相続人や受遺者等の利害関係を有する者に限られますが、①被相続人が死亡した事実を証明する書類(戸籍謄本等)、②照会者が利害関係を有することを証明する書類(戸籍謄本に記載されている相続人は、戸籍謄本で足ります)、③身分証明書を持参し、公証役場(どの公証役場でも構いません)に行けば、平成元年以降に作成された公正証書遺言の有無と保管場所を、公証人を通して、日本公証人連合会に照会することができます(秘密証書遺言についても確認可能です。)。照会結果は公証人を通して知らされ、保管場所となっている公証役場に公正証書遺言の謄本交付手続きを行えば、公正証書遺言謄本を入手することができます。
・遺言の要式性の具備の確認法
遺言者の真意を確保し、遺言の偽造等を防ぐために、遺言については厳格な要件が定められ、要件を欠く遺言は無効とされています。そのため、遺言の有効性を確認する際には、その要式が法律に従ったものかを確認することが欠かせません。
自筆証書遺言の要件は、遺言者がその全文、日付、氏名を自書し、押印することとされています。その全文の自書が求められるのは、遺言者本人が作成したものかどうかの判定のためであり、日付の記載を要件とするのは、遺言能力の判定や、複数の遺言があった場合の先後を確定するために欠かせないからです。この点、例えば年月の記載から遺言能力に問題がないことが明らかで、かつ、先後するほかの遺言書が発見されていないようなときは、日の記載がなくても有効とすべきとも考えられますが、法律が遺言に厳格な要式性を求めている以上、かかる判断はやむを得ないものと考えられます。
参考判例
自筆証書遺言に年月の記載はあるが日の記載がない場合は、民法968条1項に定める日付の記載を欠くものとして無効と解するのが、相当である(最判昭52.11.29)。