同時死亡の推定とは、数人が死亡し、その死亡の前後が明らかでない場合に、その数人全員が同時に死亡したとみなされる制度のことをいいます。
相続の大前提として、相続人になるためには、被相続人が死亡し、相続が発生した時にその相続人が生きていることが必要です。ですが、例えば、母と父が長男を残して旅行中の事故等により、亡くなってしまった場合相続関係はどのようになるのかが問題となります。
上記のような事例の場合、同時死亡の推定が働き、父と母は同時に亡くなったことになります。
この同時死亡の推定が働くか否かによりどのような違いがあるのかといいますと、同時死亡の推定が働く場合、父の財産について母は冒頭の相続人が生きているという要件を満たさないため相続人は長男のみとなります。
逆に同時死亡の推定が働かずに、父よりも後に母が亡くなったとされた場合、いったん母と長男の二人で相続し、その後長男が母を相続することになります。
この同時死亡の推定を覆すには、その効果を争う者で同時に死亡していないことを証明しなければなりません。
民法第32条の2(同時死亡の推定)
数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する