遺言の付言事項とは、遺言書の最後に書く、遺言を書いた経緯や理由、感謝の言葉などのことです。
そもそも遺言書に記載された内容が法的効力をもつには、法律で定められた一定の事項(法定遺言事項)について、法律で定められた方式に従って作成されていなければなりません。
ただ、付言事項は法定遺言事項ではありませんから、記載しても法的な効力をもちません。もっとも、付言することが法的に禁止されているのではなく、その内容を実現するための法的手段がないという意味です。付言事項を記載することで、その遺言に込められた遺言者の思いを伝えることができますし、遺言者の最期のメッセージとして、残された家族の精神的な支えになることもあります。また、相続人間の争いの防止にも有効です。
付言事項に記載される内容としては、家族へのメッセージ、遺言書の内容の説明、葬儀や埋葬方法の希望などがあります。その中で、一番重要なのは遺言書の内容の説明です。なぜこのような遺言の内容を遺したのかについて、きちんと理由を説明しておくと、相続人の理解を得られやすくなり、相続トラブルの可能性が低下します。特に、相続人の遺産分配の割合が相続人によって大きく異なる場合には、内容を説明しておくことは必須です。
このように付言事項には、法的効果はありませんが、遺言者の意思を実現して、円満な相続につながる効果的な記載事項といえます。