死因贈与

 死因贈与とは、例えば「自分が死んだら土地と建物を贈与する」などのように、贈与者の死亡によって効力を生ずるとされる贈与契約です。死因贈与は通常の贈与(生前贈与)が、生前に贈与者の財産から受贈者に利益を与えるのに対して、贈与者の死後、相続財産から受贈者に利益を与えるという点で、遺贈に似ています。したがって、死因贈与については、すべてではありませんが、遺贈に関する規定が準用されています。

死因贈与と遺贈の主な違い

・方式…遺言は法定の方式が決まっていますが、死因贈与にはそのような方式の定めがありません。したがって、自筆で書く必要もなく、公証役場に行かなくても作成することができます。また、書面によらない口頭での贈与契約も有効です。ただし、書面によらない贈与はいつでも撤回することができますので、現実的ではありません。

・検認…公正証書遺言以外の遺言は、家庭裁判所の検認を受けなければ勝手に開封することはできず、違反すれば5万円以下の過料に処せられる可能性があります。一方、死因贈与契約書は封印する必要もなく、検認の必要もありません。

不動産の登記…遺贈については仮登記ができませんが、死因贈与契約で不動産を贈与する場合には、生前に所有権移転請求権保全の仮登記をすることができます。

 

民法554条(死因贈与)

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その作成に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。