相続人の不存在とは、相続人のあることが明らかでないこと、つまり、相続人がいるかどうかがはっきりしない場合のことを意味します。相続人がいることは明らかだが、単に行方不明や生死不明の場合は該当しません。相続人のあることが明らかでない場合には、戸籍の記載上相続人となるべき者が見当たらないときや、相続人全員が相続放棄をしたとき、または相続欠格により相続資格を喪失した場合を含みます。
民法上、相続人のあることが明らかでないときは、相続財産それ自体を法人とし、この相続財産法人に相続財産管理人を置き、相続財産の管理と清算及び相続人捜索の手続きがなされます。登記手続きとしては、被相続人名義の不動産につき、相続財産管理人から、相続財産法人名義とする登記を申請することになります。
その後、相続人が出現すれば法人は最初からなかったものとなり、また、相続人の不存在が確定した場合には特別縁故者への財産分与を経て、なお、残余財産があれば国庫に帰属することとなります。