こんにちは、司法書士の渡辺です。今回のコラムでは、遺留分対策としての生前贈与について書いていきます。
まず、遺留分に関する請求は、法定相続分より少なく受け取る相続人から多く受け取った相続人に対して行います。これを遺留分減殺請求といいますが、この請求権は絶対的な権利であり権利を行使すると請求された方は基本的に拒否できません。もし相続財産がほとんど不動産の場合、不動産の持分を渡すわけにはいきませんので、多くの場合、請求を受けた相続人が、自分のお金を持ち出すことになります。
そのような遺留分減殺請求ですが、実は亡くなる前、生前に行使することができません。亡くなって自分の権利が侵害されていることを知って初めて権利を行使することができます。
そのため、相続開始前に対抗手段を考えておく必要があります。一番の対抗手段というのが、生前贈与です。生前贈与は先に契約により法律的な効果が発生しますので、そこで権利確定をすることができます。しかし、生前贈与の注意点もあります。
相続開始の1年前に贈与したものは遺留分減殺請求の対象になる。さらに遺留分権利者に損害を発生させることを知ってぞうよした場合は、1年前の贈与も対象になる(民法1030条)。
生前贈与は、贈与税、不動産取得税、登録免許税などの必要経費がかかるため(贈与税は相続時精算課税制度があり)それらを考慮しなければなりません。
ですが、生前贈与は生前に権利が確定しますので、遺留分に対しては一番おすすめの方法です。また、遺留分対策として、相続人廃除などもありますが、現実的ではありません。遺留分対策で事前にできることは法的対策の他にもありますので、お気軽に当事務所へご相談ください。