こんにちは、司法書士の渡辺です。今回のコラムでは、台湾人の方に相続があった場合の戸籍制度について書いていきます。
まず、台湾には戸籍制度が存在しています。日本では戸籍の登録、変更は本籍地のある市区町村役場が行っていますが、台湾では国が管掌し、戸政事務所という戸籍を専門に取り扱う役所が行っています。戸政事務所は、ほぼ市単位の地方自治体毎に配置されています。
また、現在の台湾戸籍は、全国的にコンピュータによるオンライン管理がされており、日本と異なり、違う戸政事務所の管轄の戸籍謄本も取得が可能です。
台湾籍の方の相続手続きにおいては、相続関係を明らかにする資料として日本と同様に戸籍を収集していくことになります。ですが、必要となる方の戸籍は日本統治時代からの旧戸籍である場合が多く、日本統治の戸籍は、専門の部署が管理しており、当該戸籍の手続きは戸籍事務所の特殊な窓口でしか扱われていません。また、日本統治時代の戸籍は、戸主を中心とする大家族制度をベースとした体裁となっており、謄本を取得するのには、そうした制度を理解して請求していく必要もあります。